自閉症児の特徴でもあるこだわりに、困っている人は多いのではないでしょうか。
Fくんのこだわりもたくさんありました。
特に水、蛇口をひねったら止められない。
園の蛇口をずっと流しっぱなしにはも出来なくて、ホトホト困りました。
自閉症児の特徴・こだわり
自閉症の子の多くに見られる特徴です。
- 目が合わない
- 言葉がオウム返し
- 名前を呼んでも反応しない
- 周りに気づかず興味のあることに集中する
- 要求や思いが届かないとパニックになる
- 大きな音など特定の音には敏感
- 水が好き
- 光や水を見る時に手をひらひらさせる
Fくんは、呼んでも話しかけても目が合わず、「どれが欲しいの?」と聞くと「ドレホシイノ」と答えました。
気になったものがあったら一目散に走り、人にぶつかることを気にしませんでした。水が大好きで、水の流れや動き・光る様子・水の感覚を好んでいるようでした。
何も言わなければずっと水を出しています。
「水おしまい」と言っても聞こえていません。
こちらが無理に止めようとしたら、怒ってパニックになり大変でした。
水を止める方法
養護学校の先生が、数を数えて区切る方法を教えてくれました。

と伝えて蛇口を閉めようとします。
奇声をあげて、止めたくない気持ちをFくんが伝えてきます。

ゆっくり数えて、また止めようとします。
怒るので先ほどの言葉を繰り返します。…と何度も繰り返します。
はじめのうちは果てしない繰り返しですが、Fくんにも水が飽きる時がきます。
その時と数え終わったときが重なったときに

と声を掛けます。
はじめは偶然で構いません。
繰り返しているうちに、数える回数が減ってきました。
時には一度数えただけで、止められる日も…✨
マイナスではなくプラス(成長)を見る
怒らなくてもいいし、パニックにならなくてもいい。ただ区切りを伝えて、一緒に寄り添って待つだけ…こんな方法があったんだ、と思いました。
待っている間は長いのですが、その時間も困った顔でFくんに寄り添うことなく、一緒にゴールを探している感覚になってゆったりとした時間が流れるようになっていきました。
数日で変わるものではなく、成果は週や月をまたいでのゆっくりと現れます。
根気が要りますね💦
自分の気持ちで行動する、それを褒めるという循環が大事だと知りました。
普段の保育や子育てへの応用
この方法は自閉症児だけでなく、保育や子育てでも応用できます。
外遊びから部屋への入室を嫌がって、なかなか気持ちが切り替えられない子がいるときは「まだ遊びたいのね。いいよ。10数えて待っているね。数え終わったらお部屋に入ろうね」と声を掛けると、あっという間に入室します。
中には「数えないで!」と嫌がったり怒る子もいます。穏やかな口調で言っても、急かされていることが分かるのでしょうね。賢いですね。
そんな時は「分かった、数えるのが嫌なのね。それじゃ、先生目を隠しているからその間に〇〇しちゃってね」と伝えます。
目を閉じて顔を隠したふりをして薄っすら目を開けて見ると、頑張っている子どもの姿が見えていじらしくなります。
自分でやりたい、自分の意思でやりたいからこそのイヤイヤなのですよね。
「もういいかい?」と聞くと「まーだだよ」と言って急いでいます。
「もういいかい?」ともう一度聞くと「いいよ」とお許しが出て目を開けます。
すごーく時間がかかったときにも、必ずこう言います。
「わ、もう終わっちゃったの??はやーい」
その時の子どもの誇らしげなどや顔が好きです。
一度では出来ないことはしょっちゅうだし、上手くいく時ばかりではありません。
そして時には時間がなくて待ってあげられないこともあります。
怒りながらのカウントダウンは子どもにとって恐怖でしかありません。
心の余裕があるときだけで構いません。
声のかけかたでこんなに関係性が変わるんだと実感する経験でした。