私事ですが、夫と結婚して満20年が経ちました。
恋人から夫婦へ、息子が産まれて父と母になり、今同士へと変化しています。
20年の間にはたくさんの山と川と谷を越えました。
そのたびに話し合いを重ね、信頼関係を築いてきました。
お互いをある程度は理解している、と思っていたのですが…
少し前に、夫の隠していたある感情を発見しました。
旅行の楽しみかた
わが家の旅の楽しみかたは、家族それぞれの行きたいところを出し合ってプランを立て、それをもとにして回っていました。
旅先で食べたいもの、見たいもの、息子の好きな文具屋も本屋も、わたしの好きなパン屋にも…。
行きたいところを効率的に回れるように組み立てるのはわたしの役割でした。
最近、以前に増して夫の運転がどんどん荒くなっていることが気になっていたので、ある日そのことについて話しました。
スピードを出すことの裏にどんな思いがあるのかを聞いたら「ゆとりが欲しい」と思っていることが分かったのです。
もっと奥の願いを探していくと「旅行はなるべくプランを立てずに回りたい」と思っていたことを知りました。
ええええっ!そうだったの?
でも旅行のあとには「楽しかったね」「色んなところに行けて充実していたね」って言っていたよね⁉
夫も今の旅行スタイルを楽しんでいると思っていたわたしは衝撃でした。
記念旅行をどう楽しむか
20周年旅行は伊豆半島に行くことになりました。
一泊二日と短い時間で伊豆に行くのは結構ハード。
あっという間に時間は過ぎてしまう。
久しぶりだし、行きたいところがたくさんあるな~。
そう思ったとき、夫の願いを思い出しました。
そして、今回の旅行をどんなふうに過ごしたいのかを聞いてみました。
日数が少ないので全くのノープランでなくていいけれど、余裕があってその場で見つけたものを楽しめる旅行にしたい、が夫の要望でした。
そこでそれぞれ行きたいところを1つだけ出し合って、それ以外は決めずに出発しました。
ノープランを楽しめるのか
初日の午前中はそれぞれの行きたいところを回っていたので、スムーズでした。
昼食場所、午後の予定はノープラン。
車を走らせながら食事ができるところを探します。
「以前来た時にあったカレー屋に行ってみよう」と夫が言い「そうしよう」と探すも全然見つからない。
カレー屋があるだろうの範囲を越えても、止まらないでズンズン進む夫。
この先はないと思うよ…だって西伊豆に足突っ込んじゃってる…。
カレー屋を諦めて適当に入ったラーメン屋は矢沢永吉ファンの店主が店内を永ちゃんカラー1色に染めて、音楽まで矢沢永吉という店も味も濃いラーメン屋でした。
わたしのなかに「せっかくの記念旅行だから、楽しみたい」「ムダな時間はもったいない」という気持ちがある…。
結局チェックインまでの時間が余ってしまい、海辺に車を停めて昼寝しました。
寝るまではモヤモヤがあったのだけれど、目が覚めたら波の音が聞こえて、なんだかすっきりしていました。
あぁ、最近突っ走りすぎていて、こんなにゆっくりと流れる時間はなかったかも。
お互いの願いを含んだ時間の使い方を探す
一日を振り返ってどんなふうに感じたのか、夫と話しました。
「いつもよりもゆっくり過ごせてよかったという気持ちと、時間がもったいないという気持ちの半分半分」
夫もわたしと同じ気持ちでした。
わたしの気持ちも伝えました。
- 行きたい場所を探さないようにしている時間が苦しかった。
- カレー屋が見つからなかったときに、焦ってどんどんスピードが出ていくのが嫌だった。
- ムダな時間が過ぎるのがもったいないと思っていたけれど、昼寝したら気持ちが軽くなった。
これからの旅行スタイルについて考えます。
模索するうちに、お互いの願いを含んだ時間の使い方を見つけました。
- 楽しそうなところ、美味しそうな場所を探す時間は、わたしにとって大切なので抑えることはせずに見つけることを楽しむ。
- 夫はわたしが見つけた場所全てを回ってあげたいと思う性分なので(わたしは見つけた場所全て回りたいとは全く思っていません)見つけた場所全てを共有しない。
- 特に行きたいと思った場所のみ伝えて、残りの場所はわたしの中に留めておく。
- 時間があまったり、余裕がありそうだったときに行きたいリストにある場所を夫に伝える。
旅行先で何しようと考えるところを楽しみたいわたし。
充実した時間を楽しみたいとともに、時間に追われたくない夫。
どちらの気持ちも大切。
もっと早くお互いに大切にしたいことが違うと気づいていたら、旅行の計画を全く立てようとしない、宿泊先を探そうともしない夫にイライラすることもなかったな。
行きたい所探しを自分が楽しんでいると自覚していなくて、家族のために頑張っているような気がしていました。
夫は自分がどんなふうに過ごしたいかには気づかずに、ただわたしが楽しめるように…を考えていました。
まずは自分がどうしたいのか、そう思う奥にはどんな願いがあるのかを知って、それを相手に伝えることが必要です。
怒りや悲しみなどの感情ではなく願いを伝えることで、どちらかが我慢したり相手の意見をつぶすこともなく、解決策を見つけることができます。
対立を越えたコミュニケーション、それがNVCです。