北九州市のある保育園で、昼寝から子どもを起こすために簡易ベッドを斜めに傾けて滑らせる行為を数人の保育士がしていたというニュースが報じられました。
えぇっ⁉という驚きと、過去を振り返ったときに似たようなことがあったな…という二つの思いがよぎりました。
お子さんが通っている保育園で、どんなふうにお昼寝から目覚めているのか知っていますか?
北九州市のニュースを受けて、昼寝の起こし方について考える
同保育所では3歳以上の約60人が2階ホールでプラスチック製の簡易ベッドを使って昼寝している。複数の関係者によると、市が立ち入り調査する前の 約一ヶ月間だけで、傾けて起こす事例が17件確認されている。ある保護者は西日本新聞の取材に「『下ろされて泣いた友達もいる』と子どもから聞いた」と話した。
市によると、同保育所は2017年3月に開所したばかりで人気が高く、定員70人を上回る約120人を受け入れている。定員に対する入所率は市内で最高レベルだという。市議会関係者は「違法状態ではないが、ほかの保育所と比べて、保育士の経験年数が不足しているのは否めないのではないか」と指摘する。
正勇会は取材に、事実関係を認めた上で「けがをした子はいなかったが、危険な行為だった。一部喜ぶ子どももいて日常的に1年ほど続いていた可能性がある。再発防止を徹底したい」と話している。
記事を読んで感じたのは、1ヶ月で17件が確認されていると書かれているけれど、きっと不定期に繰り返されていたのだろうなという予感と、定員70人に対して120人を受け入れている現場ってどんなことになっているのだろう…という不安でした。
子どもにとっても、保育士にとっても良い環境ではないということは予想できます。けががなかったことが本当に幸いです。
お昼寝事情は園によってそれぞれ
わたしが勤務してきた園(保育園に限ると)は今までに4園。
簡易ベッドを使っていた園はなく、どこも布団でした。
なかなか起きない子ももちろんいて、優しく言葉をかけて、体をゆすって、抱きあげても起きない場合は布団を先に畳む場合もあります。
もちろん布団から滑り落とすなんてことはしません。
でも、中にはおりゃ~!という勢いで布団から子どもを転がす保育士もいました。
記事に書いてあるように、それを子どもが楽しんでいる場合もあるし、布団を取られて泣く子もいます。
お昼寝に時間がかかる→寝る時間が遅くなる→起きられないという悪循環を生むことが多く「だったら早く寝てくれ~!」というのが本音。
昼寝の時間に連絡帳、製作準備、掃除をしなければいけない焦りから「早く寝てほしい。たくさん寝ていてほしい。起きるときはすぐに起きてほしい」これは保育士側からの一方的な願い。
子どもにしてみたら、寝たくないのに寝ろと言われる。まだ寝ていたいのに、起きろと言われる。たまったもんじゃないですよね。
スムーズな昼寝からの起床を促すために
お昼寝中は遮光カーテンを使って、部屋を真っ暗にする園も多いのですが、今勤務している園はレースのカーテンと同じ明るさです。
寝付くまでに時間はかかりますが、目覚めるのも早いです。←早すぎて大変ですが💦
昼寝は夜寝るのと違うので、本来なら真っ暗にする必要はないのですよね。
もしも黒いカーテンを使っている場合でも、子どもが寝付いたらすぐに日差しを入れてあげるといいと思います。
今は昼間なんだという感覚を脳が感じることで、何時間も寝てしまってなかなか起きないことも軽減されます。
午睡時間終了まで布団にいなければいけないという園も多いです。
早く寝て、早く目覚めたら、部屋の隅で遊べたらいいですね。
少しずつ目覚めて遊ぶ友だちの声が、よりスムーズな昼寝からの起床に役立つと思います。
命と向き合う仕事
みんなで一斉に寝て、みんなで一斉に起きる。
その一斉は必要ですか?
なんのために必要ですか?
今までの保育の当たり前を変えていきたい。
「集団ではなく、一人一人に合わせた保育を」
保育業界でよく使われる言葉ですが、お昼寝ひとつとってもそれができているのか見直す必要があると思います。
本当は寝たくない。でも寝ないと夕方機嫌が悪くなったり、お迎えの時間に寝てしまったりする子には「起きたらたくさん遊ぼうね」と言って寝かしつけます。
起きたときに「さっさと起きろ~!」なんて言われたら、やっぱり寝たくなかったと思いますよね。
手が足りない。忙しい。色々理由はあるけれど、
「おはよう。寝たらすっきりしたね~。おやつ食べていっぱい遊ぼう」とぎゅっと抱きしめる。
それに必要な時間は1分もかかりません。
わたしたちが向き合っているのは、モノではなくてひとつの命。
そしてわたしたち自身も命。
園や社会の利益のために、定員を大幅にオーバーして子どもを受け入れる、子ども一人一人を受け入れきれない状況なんて嫌。
仕事が多い、やりきれない、休憩もとれない…そのイライラやモヤモヤは子どもにぶつけずに、園や社会に向けていきましょう。