以前にお便りで頂いた悩みです。ご本人から許可を得ています。
最近また、子どもに怒ってしまう事が増えて、3歩進んで4歩下がってる感じがしています…。
説教も長くなってしまいます。私の気持ちが伝わってないのか不安で長くなってしまいます。
逆効果なのに…。
子どもを心から愛せない
やり取りから、悲痛な叫びが聞こえていました。
- 子どもを心からかわいいと思えない
- 子育ては楽しいよりも辛いが多い
- そんなふうに思う自分はダメな母親だ
- 小さいときから親や姉妹に愛されなかったのも当然だ
- 子どもには自分のようではなく、愛される人になってほしい…
- だから、ついつい口うるさく叱ってしまう
相談してくれたAさんは、壮絶な過去を背負っていました。
その荷物を抱えているのも自分のせい。
子育てがうまくできないのも自分の責任だと感じていました。
インナーチャイルドをNVCで癒す
インナーチャイルドとは、自分の中にいる小さな自分です。
「毒親」という言葉をよく聞きますが、好きな言葉ではありません。
なぜなら自分が毒を持っていて、その毒が子どもに影響を与えていると感じている親は少ないからです(中には毒だと分かっていて振りまいている親もいます)。
自分では子どものためだと思っていたことが毒になっていた、というほうが断然多く、全てまとめて「毒親」という一言で片づけてしまうことに残念さがあります。
あえて「毒親」という言葉を使えば、Aさんは「毒親」に育てられて「毒親」になりつつある自分を責めていた。そんな状態でした。
でも、Aさんは心の奥でお子さんを愛したいと思っていました。
代を越えてもなお、繰り返している痛みを止めるために、向き合ってほしいのが小さな自分(インナーチャイルド)です。
インナーチャイルドを癒す特別な学びはしていないのですが、調べるうちにNVC(非暴力コミュニケーション)の自己共感と近いことが分かりました。
NVCの観察(Observation)、感情(Feeling)、ニーズ(Need)、リクエスト(Request)とともに、インナーチャイルドを癒す一つの方法としてご紹介します。
O(観察)
小さな頃を思い出して(思い出せなければ最近のことでもOKです)、自分が傷ついたことを一つだけ振り返ります。
口に出してもいいし、文章にしてもいいです。
目をつぶって、心の中で思い出すだけでも。
じっくり時間をかけて、その時の自分に会いにいく感覚です。
「観察」にはいい悪いの判断や非難は持ち込みません。
理科の朝顔の観察を思い出して下さい。
そのときの自分がどんな状態であったのかを、付け足したり引いたりすることなく、あるものある、と受け取ります。
F 感情
小さな自分と向き合えたら、その子に聞きます。
「どんな気持ちだった?」
その時に感じていた悲しい気持ち、悔しい気持ち、傷ついた気持ち、全てを聞いて「そんな気持ちがあったんだね」と受け止め「全部話していいよ」と安心できるように声をかけます。
感情の一例
- 不安だった
- こわかった
- むかついた
- 恨みの気持ちがあった
- 敵意があった
- ぞっとした
- 途方に暮れた
- 孤立していた
- ショックだった
- 居心地が悪かった
- クタクタだった
- 寂しかった
- 惨めだった
普段は感じないように蓋をしている負の感情を全部吐き出します。
吐き出した自分に「頑張ったね」「辛かったね」と声をかけてください。
NVCでは感情にはいい悪いはなく、自分の大切にしたいものを教えてくれるメッセージです。
「こんなことを思っちゃだめだ」など蓋をせずに、全ての感情を受け取ります。
N ニーズ
小さな自分が少しすっきりした状態になったところで「本当は何がほしかったの?」と尋ねます。
本当は欲しかったもの一例
- 自分で選択したかった
- もっと愛されたかった
- 抱きしめてほしかった
- 安心安全を感じたかった
- 兄弟姉妹との間に平等がほしかった
- 自分を表現したかった
- 支えがほしかった
- 自分の居場所や時間がほしかった
- そのままのあなたでいいよと認めてほしかった
ニーズは願いです。
感情の奥に眠っているので、普段は見えないことが多いです。
じっくり向き合うことで見えやすいニーズだけでなく、深く眠っているニーズも発見するかもしれません。
願いが見つかったら「そっか、本当は〇〇がほしかったんだね」と伝えて、小さな自分もニーズも一緒にぎゅっと抱きしめて下さい。
R リクエスト
見つけたニーズを満たすために、今の自分ができることを小さな自分と一緒に見つけます。
この部分は高度なので、一人で見つけることは難しいかもしれません。
O→F→Nだけでも、効果があると思います。
子育て・人間関係の悩み相談にのります 幼児教育や保育に20年以上携わり、発達障害保育経験もあり

子育てには正解がない
子どもの気持ちに寄り添うって難しい。
それは思考だけではどうにもならない、自分の奥に眠る、気づいていなかった感情が言動や行動に影響を与えているから。
小さな自分と向き合うことで、

と気づくうちにAさんの心に、少しのゆとりができました。
お子さんを可愛いと思えない理由もはっきり見えました。
ダメだと思っていた自分が実はすごく頑張っていた、そのことに気づいて受け止めてから、お子さんとの関係が変わっていきました。
とはいえ、急に前へグイグイ進めるわけではありません。
一歩進んだり、戻ったり。子育てしているようで、自分が育っている。
