学校に行きたくないと子どもが言ったときに、一番大事なこと。
それは親が選択肢を知っていることと、親自身に子どもに寄り添えるスペースがあることだと感じています。
周囲に合わせることがよしとされていた時代から個を大事する時代への変化の中で、システムがなかなか変わらない学校へなじめない子どもが増えていますね。
行くか行かないの2択しかなかったり、行けない子はダメだという偏見が周囲に多い、ちゃんと行かせられない自分はダメな親だと思ってしまうと八方塞がりで親子ともに苦しい状況になります。
わたしが地域の子育て支援を始めたのは、周囲に不登校のお子さんを持つママたちが多かったから。
子どもの気持ちと自分の気持ちの狭間で揺れ動き、どうしたらよいかわからなくなる。
「かわいそう」と片付けられて、孤立化する様子も何度となく目にしました。
その家族だけではなく、学校や地域、社会全体の問題だと感じています。
義務教育は権利であって義務ではありません。
義務は子どもが教育を受ける権利を、大人が実現することだけにあります。
教育のありかたを子ども自身が選択できることは、子どもの権利条約で示されています。
学校に行きたくない理由を知る
当たり前ですが…学校に行きたくない理由はその子によって違います。
絶対に行きたくない子もいるし、行きたくても行けない子もいます。
「なんで学校にいかないの!?」と言葉にする前に、まずは深呼吸してください。
「行きたくない」の奥にある思いや理由を聞かずに無理やり学校に行っても、一時的な解消だけでまた同じことが起きるでしょうし、最悪の場合親子関係がもつれる原因になります。
思いを否定された子は親や周囲の目を気にしながら生きるか、我慢しすぎて気持ちが爆発して目の前の人に攻撃的になるかのどちらかです。
わたしたち大人が、子どもたちにどんなふうに育ってほしいかを思い出す必要があります。
誰かの顔色を見れる「いい子」に育ってほしいのでしょうか。
周囲とうまくやってほしいという思いはあっても、その子らしく伸び伸びと生きてほしいと願っている人が多いのではないでしょうか。
小学生の子どもが学校に行きたくないと言ったら
子育て相談に来たあるお母さんの話です(※許可を頂いています。)。お子さんは小学生2年生。
お子さんは友だちも好きだし、先生が嫌なわけではないけれど、毎日何時間も椅子に座って授業を受けることに疲れを感じているそうです。
週に1日~2日は休みたいそうです。
最初は「そんなに休んでばかりいたら、学校に行きづらくなっちゃうよ」とアドバイスしたものの、言ったあとでこの言葉は子どもをコントロールしているのかもしれないと思ったそうです。
小さい頃に親から威圧的な言葉を受けていた痛みから、お子さんには共感的であることを意識していたのに、、とおっしゃっていました。
あるとき突然「学校に行きたくない」と言われたら動揺しますよね。
学校になんて連絡しよう…。仕事どうしよう…。周囲の目、自分の時間のこと、色々なことが頭を駆け巡るはずです。
学校に行く以外の選択肢
日本にも少しずつ選択肢は増えていて、こんなサイトも出来ています。
わたしの住む地域にはなかったのですが、近々できる予定です。
この記事を書いてから1年半ほど経ってリライトしていますが、牛歩の歩みでも少しずつ変化しているのだな~と改めて感じています。
学校の中にある〇〇教室は、居心地が悪いとどの地域の声も同じです。
ホームスクーリング(学校に通わずに家で学習する選択)を選択しているご家庭もあります。
これが選択できる環境ならすごく恵まれていると思います。
親にとってかなりの負担ですよね…。
アメリカも北欧も教育にたくさんの選択肢がありますが、日本には選択肢が極端に少ないです。
選択できても、フリースクールやホームスクーリングを周囲に理解してもらうために大きな壁があります。
わたしたちのチームは、フリースクールを立ち上げることを目標にして活動しています。
まだまだ少ないですが、多様な選択肢があり、増えていることを、まずは知ってほしいです。
知らないと身近にあっても選択できません。
地域名×オルタナティブスクール、地域名×フリースクール、地域名×ホームスクーリング×サポートなどの検索で頼れるところが見つかるかもしれません。
学校を変えるかどうか、の前に選択肢があるかもしれないということと、そこに通っている=同じ思いの人がいると思うだけで心の軽さは格段に変わります。
全国の素敵な学校
日本にも素敵な学校やフリースクールが次々とできています。
ヒミツキチ学園
神奈川県にある「ヒミツキチ学園」。
「自分のどまんなかで生きる人って、どんな人生を生きるんだろう」
校長のこの問いから全てが始まりました。
モノが溢れ、「正解」が必要という大前提が崩れてきている時代。一人ひとりが持つ、一番光っているものが、未来を創っていく時代になっていくでしょう。自分のワクワクすること、理屈じゃなく直感でやりたいことを決める。それは決してわがままな姿なのではなく、変化の大きいこれからの時代で、生き生きと生きるために、真に必要な力。そういう風に誰もが「自分のどまんなかで生きる」世界を創りたい、そう思い、私たちは大きなビジョンを掲げました。
3つの柱①生きる力を育む
3つの柱②学び方を学ぶ
3つの柱③自分を知る
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通常の教室と違う空間を垣間見れますね。
大日向小学校
長野県にできた大日向小学校は名の通り学校です。
知り合いに通っているかた、通おうと思って説明会に出られた方、そして働いている先生がいて、授業内容などを聞けば聞くほど素敵な学校です。
私たちの考える「誰もが、豊かに、そして幸せに生きることのできる世界」とは、すべての人が「個」として大切にされ、それぞれの違いを認め合い、互いに協働することを通して世界平和に貢献する、自由と責任のある共同体です。
私たちの学校は、こうしたイエナプラン教育の経験に学びつつ、日本の教育ならではの豊かさを活かすことで、新たな価値を提供することができると考えています。
限られた一部の人のためだけに特殊な教育を行う学校ではなく、学習指導要領に基づいた教育を行う一条校である小学校の新たな在り方を示すことも、私たちが目指すことの1つです。
佐久穂町に日本で初めてイエナプラン教育に基づく小学校を設立することは、公教育の選択肢を増やすという意義を持つと考えています。
動画、素晴らしいです。ご覧ください。
させられる教育でなく、自ら学ぶ教育。
そんなの夢物語なのではと思っていたけれど現実にできるんだということがわたしたちの希望です。
風越学園
長野県にある風越学園は、12年間の幼小中混在校(一貫校)です。
幼稚園児・小学生・中学生がまざってあそび、学ぶことが、軽井沢風越学園の大きな特徴です。
前期と後期はゆるやかなつながりを持ち、スタッフは子どもの実態に即して、今その子にとって何が必要かを考え、過不足なく関わることを目指します。
多様な人たちとともに、互いが気持ちよく過ごすための環境を自分たち自身でつくることを通じて、子どもたちはつくり手としての経験を深めていきます。
楽天副社長だった本城慎之介さんと、東京学芸大学大学院教育学研究科教育実践創成講座准教授の岩瀬 直樹さんが作った今までにない学校。
「こたえのないがっこう」と理念を打ち出しています。
岩瀬さんのサイトにあるこちらのページがわかりやすいのでリンク添付します。
常石ともに学園
2022年4月にスタートする一条校✨
イエナプラン教育を取り入れています。
〇1~3年生,4~6年生による異年齢集団を基本単位として教育活動を行います。
〇「対話」「遊び」「仕事(学習)」「催し(行事や祝い)」の4つの活動を基本に,子ども一人一人の個性を尊重しながら自立と共生を学びます。
〇教室を「リビングルーム」として捉え,安心して過ごせる環境をつくります。
ご紹介させていただいた学校やフリースクールの特徴として共通しているのは大きく3つと感じています。
- 子ども一人ひとりの個性を大事にする教育理念を掲げている「多様性」
- 年齢で区切らず、異年齢(=お互いに違うこと)を前提にしている「協同」
- 大人は教える人ではなく寄り添う人、子ども自身が決めていくことを大事にしている「探究」
子どもの気持ちに寄り添う前に自分に寄り添う時間を
色々な選択肢があることを知っても、子どもに寄り添いたいと思っても、自分に余裕がなかったらきっといつもと違う一歩を踏み出すことって難しいですよね。
相談に来られる方にいつもいうのは、まずは気持ちや心の中を整理する時間をもってくださいということです。
それは美味しいコーヒーを飲みながらや、きれいな景色を見ながらなど、リラックスできる場所と時間をもてることが一番です。
そして目の前で起きていることにジャッジせず、ただ共感してくれる人がいたら話を聞いてもらってください。
ただ聞いてもらいながら、本当は自分がどうしたいのかという内側の視点をもちます。
子どもが変わらないから、夫が協力しないから、学校が頼りにならないなど外側に視点を向けている自分がいたら「そっか、外側に視点があるな~」とあることをただ感じてください。
自分の声を聴くことって、すごく大事です。
相談に来られたお母さんも、心の中にあったことを話したことで本当は自分自身も居心地のよさとか、自分がやりたいことを選択したい気持ちがあったことに気づきました。
「この気持ちは子どもが今感じていることと一緒かもしれない」と。
小さかった時の自分に何をしてあげたいかを聞くと「その気持ち分かるよ」って言ってあげたいと。
それを子どもに言えばいいんだって晴れやかな顔をして帰っていきました。
そしてお子さんの気持ちに寄り添うだけでなく、今の自分の状況(仕事など)を考えた上で「今日はどうしても仕事を休むことができないのだけれど、学校に行ってみるか、一人で家にいるか、おばあちゃんの家に行くなどもあるけれどどうする?」など、お子さんが選ぶ形にしてみることもおすすめです。
身近に共感してくれる人がいないという場合には、地域で相談できる場所を探すのも必要だと思います。
わたしも相談サポートを出品しています。
子育て・人間関係の悩み相談にのります 幼児教育や保育に20年以上携わり、発達障害保育経験もあり
子どもの声を聴く
自分にスペースができたら、子どもの声を聴きます。
そしてまずは行きたくない気持ちがあることを受けとめます。
「そっか、行きたくない気持ちがあるんだね」
そして、行きたくない原因がなにかも聞けたら聞きます。
聞くことができたらまた受けとめます。
聞くことができないときには「話したくないんだね」とそこも受けとめます。
すべてを一度受けとめてから、どんなサポートが必要なのかを聞くのがおすすめです。
先回りしてなにかをしてあげようと思ったり、心配をするのはおすすめできません。
そして大事なのは受けとめることと、甘えさせることは違うということです。
ここからはありかたというよりはやりかたになりますが、学校を休んだ日の過ごし方が大事だと考えています。
ポイント
- その子の状況に応じて、家でできる学びを選択して実行できるサポートをする
- 休むとと決める前にどんなふうに過ごすのかを考える(ゲームなどについても)
- 家にいることが苦痛でも楽しすぎるでもなく、自分で考えて行動できる時間になることが重要
「学校に行きたくない」という言葉はかなりのインパクトで一般的な「いい出来事」ではないかもしれません。
でも、なにかしらのサインだとすると、そのサインを大事にすることで目には見えないものが得られているのかもしれません。
最後に無印良品の書いている「教育の権利と義務」を添付いたします。