入院で得たもの・失ったもの
息子(希生)が急性膵炎で入院していたあの頃、一日一日を過ごすことがやっとで心も体も疲弊していました。食べたいのに食べられない希生を見ていると、わたしも食欲が湧かず痩せていきました。
そんな時、マイペースに日々を送る夫を見て心の距離を感じました。
入院生活で得たものは、当たり前の日々の有難さに気付けたこと、希生との信頼関係。
失ったものは時間と体力気力、そして夫への信頼でした。
産後クライシスの記事に「わたしたち夫婦の一番の危機は産後ではなく、つい数年前の希生の入院時です。それはまた、お話したいと思います」と書きました。
今日は、わたしたち夫婦の間に溝が出来てしまった理由と、それをどうやって埋めたのかについて書きたいと思います。
入院時の役割分担
希生の入院が決まった時、夫に食後の皿洗いなど、いつもの分担に出来ることでいいからプラスアルファ手伝ってほしいということを伝えました。
休日は午前と午後に分かれて順番に病院へ行きました。
お願いしたことはやってくれていました。
サポートしてほしいことをちゃんと伝えて良かった…と思っていたのですが…。
入院が長引き、溝が深まる
長くて10日から2週間くらいの入院だと言われて、その言葉を支えに頑張っていました。
退院出来そうと思うと痛みが出て、絶食からやり直し。
心を保つための糸がプツっと切れました。
帰宅して家のことをして、お風呂に入って眠る。
不安で淋しくて、声を出さないようにして布団の中で泣きました。
なぜだろう。
悲しいこと、辛いこと、嫌なこと…辛ければ辛いほど、誰にも話せません。
少し落ち着き、自分の中で進み出せたら話せます。
感情を閉じ込めてしまうクセがある。
こんな時にさえDVDを見ながら笑う夫を、軽蔑する気持ちが湧いてきました。
感情を整理する
その頃の自分に戻って感情を整理してみたいと思います。
わたしの中のモヤモヤ
- いつまで入院が長引くのだろう、退院出来るのだろうかという不安
- 勉強がどんどん遅れてしまう、病院内の養護学校に籍を移した方が良いのか、そうなった場合の手続きは?などの不安
- 毎日の通院、疲れた…
- いや、疲れたとか思っちゃダメだ
- 辛くても頑張っている希生の前では笑顔で
- どこで自分の感情を出したら良いか分からないから苦しい
- 希生がいなくて、淋しい…
わたしが欲しかったもの
- 普通の日常
- 家族が三人揃っている風景
- 休息
- 不安定な思いや淋しい気持ちに気づいて欲しい
夫の気持ちを理解してみる
- 出来ることは協力しているから大丈夫
- 仕事から帰宅したら、自分の時間は楽しみたい
- たよらこは疲れて言葉が少ないから、そうっしておこう
- お見舞いに行く回数が少なくて、希生に関する情報が少ないから状況がよく分からない
わたしの中の心配や思いを、夫に打ち明けたことはありませんでした。
一人で背負い込んでいた。
「分かるでしょ?」「何で気づいてくれないの?」という一方的な思いがわたしの心を覆っていました。
希生が退院しても、夫との関係はギクシャク。わたしが距離を取っているのを、夫も感じていたと思います。
受験時の連携が全く出来ないモヤモヤ
入退院を繰り返している間、希生は受験生でした。
体の心配プラス受験の心配もあって、それが夫婦関係にマイナスに作用していきました。
わたしの不満
- 希生がどんな高校選びをしているのか、どんなことを考えているのかに興味をもってほしい
- 「どの高校が気に入っているんだ」「どこに行きたいんだ」と答えを求めるのではなく、一緒に探し見守る姿勢がとりたい
- 模試や英検、漢検など地理的に送り迎えが必要な時の連携に気付いて協力してほしい(そんな日にアニメのフェスで一日中留守…)
- 予定はカレンダーに書き込んであるのに、チェックしないのはなぜ?
- 高校説明会に派手な色のシャツを着ていて唖然
- 受験勉強を頑張っている隣で楽しそうに毎日見るアニメ、どうなのさ!
書いていて笑っちゃいました。
もっと細かいこと色々思っていたと思います。
親はこうあるべき!がわたしは強いのですね。書いてみて、改めて分かりました。
ひとつのことで溝が出来た時、嫌な部分ばかりが見えていきませんか。
結婚してもうすぐ20年。
はじめて結婚、失敗したのかも…という思いさえよぎりました。
わたしが家庭に求めていたもの
亀裂がどんどん広がって、その先に待っているのはギスギスした日々。
楽しくない日々。そして、別離…。
わたしはそれを望んでいるのだろうか。
自分に問いました。
安心安全な場所ではなかった実家暮らし。
この人なら安心安全、信頼出来る。そう思って結婚しました。
そう…不器用なことは最初から知っていたんだ。
まぁ、ここまでだとは知らなかったけれど(´*ω*`)
伝えないと伝わらない。
でも、ケンカでもなく一方的でもない話し合いがしたい。
そして思いついた方法です。
夫婦の亀裂の戻し方
2色の画用紙を丸く切り抜いたカードを何枚か作りました。
そして夫に伝えました。
「お互いに不満がたまっていてギクシャクしているよね。こんな時間がずっと続くのは嫌だから話し合いたい。平和的に話したいからカードを作ってみた。
茶色のカードには相手に対しての不満を。白いカードには自分が相手にしてしまっているかもしれない反省点をお互いに書いてみよう」と。
カードの記入がお互いに終わってから、話し合いの場を持ちました。
カードの相手に対しての不満が、自分が相手にしてしまっているかもしれない反省点とつながっている部分がいくつもありました。
そんなことを思っていたんだという発見もありました。でも、それは話し合ったら思い違いで、ボタンが掛け違っていただけでした。
この話し合いには希生も参加していました。
カードを見ながら話し合った後、みんながすっきりした顔になりました。
夫が「このカードは残しておいてほしい」と言いました。
「忘れっぽいから時々見た方が良い」とも。
そのカードを見ると、今学んでいるNVCにつながっているなぁと嬉しくなります。
人と人が深いところでつながるためには、感情の中に眠っているお互いの思いに気づくことが大切なんだ。
夫婦関係は一生の宿題⁉
だからといって、その後は問題なく過ごしているかといえばそんなことはありません。
日々色々なことがあって、その度に感情が揺れ動きます。
イライラしたり、悲しくなったり…。
夫の性質は変えられない
変える必要がない
その性質をどう生かすか
生かし合うか
何度も自分に問うています。
感情を怒りや幻滅に変える前に、思いを伝える言葉を見つける。
これってこの間のあれと同じことなんだけど~!なんで応用きかないかな~~💦って思う。
そういう性質なのよね…。←言い聞かせる
女性が会話に共感を求めるのに対して、男性は目的や意味を考えるというのは良く聞くことですよね。
それを知った上でやっぱり共感して欲しいのなら、伝わる方法や言葉を探さなければ。
一緒に楽しく過ごしたい。
この人と生きて良かったと思いたい。
思って欲しい…。
そのためにこれからも、会話をしていこうと思っています。