動けるようになり、自分の思いを主張出来るようになると見られる噛みつき。
思いを成長できることは、成長している証なのですが…

そこに手があったから…という防ぎようのない噛みつきもありますが、理由があることのほうが断然多いです。
噛んでしまう主な原因はこの2つ。
- 自分の思いを通そうとしたとき
- 自分の思いが通らなかったとき
噛んでしまった時の接し方や対応について書きたいと思います。
噛みつきの多い時間帯
園での噛みつきを振り返ると、
- 昼食後の片付けからお昼寝の準備をしている時間帯
- おやつを食べた後の時間帯
が多いことに気付きます。
保育士が忙しくて構ってあげられない、手一杯な時に起こるのですよね。
噛みつきがあったときの処置
まずは細菌感染を防ぐために、傷口を水で流します。そして冷やします。
噛みつきの跡が酷い場合は、上司に報告。
噛みつき問題から退園問題にまで発展したケースもありました。
子どもの処置が最優先ですが、落ち着いたら早めに報告しておくことが重要です。
噛みつきがあった場所や時間、状況とともに保育士の配置場所をメモ。噛みつかれた場所や処置もメモします。
場合によっては写真を撮っておくのも必要かもしれません。
保護者への報告は園にもよりますが、勤務していた園では両者に伝えていました。
噛んでしまった子どもと親の気持ち
「噛んだ」ことに対しては、ダメ、いけないことだと子どもに伝えることが多いと思います。
噛んですぐに「ダメだった」と感じている子の場合と、噛んだことに対して何とも感じていない場合の対応は違ってくるのかな…と個人的には思います。
ダメだったと感じてすでに反省している子を、さらに怒ったり叱ったりしても逆効果ですよね。
「噛んだらダメだって、〇ちゃんが痛いって知っているんだよね」と話して、本当はどうしたかったのかを聞き出し、それを受け入れた上で「噛むのは痛いからやめようね」と伝えます。
噛んだ後に無反応だった子に対しては、泣いている子に気づくように声をかけます。噛まれてけがをしている子の傷を見せて、痛かったと気づけるようにサポートもします。
保護者の反応も様々ではありますが、家では噛まない場合は「どうして」とショックな気持ちになるはずです。
何度も繰り返している場合には「自分の子育て方法がダメなのでは」とショックに思う場合もあると思います。
その子の置かれている環境や持っている特性を理解し合いながら、保護者の受けている傷にも寄り添えるといいですね。
園が悪い、親が悪いなど、責める関係にならないようにしたいです。
噛まれた子どもと親の気持ち
噛まれてしまった子は、痛いしびっくりしたと思います。
「大丈夫、大丈夫、泣かない」とつい言ってしまいがちですが、泣いてもいいのですよ。だって痛いんだもの。
わたしも含めて、特に日本人はマイナスの感情をダメなものとして、塞ぎがちですがたくさん泣いて痛かったと感じていることを噛んでしまった子が見ることも大切なことです。
「痛かったね」「びっくりしたね」と気持ちを代弁して落ち着くまで、待ってあげましょう。
ただ、痛い気持ちに同情していると、心の切り替えができない場合があるので、同情ではなく共感しながら静かに寄り添うようにします。
噛まれた側の保護者は、大切なわが子の傷跡を見たら心が痛みますね。
怒りの思いをもつこともあると思います。つい自分を守りがちですが、心の中で自分の気持ちに共感しながら、相手の気持ちにも共感します(難しいですが💦)。
ただ、保護者の側に分かってほしいことがありますよね。
集団で生活するということは色々な特性を持つ子の中で過ごして育つということです。
家にいてもケガはあるし、トラブルもおきます。どこまで園や相手に責任を問うかは難しいところですね。
残らない程度の傷は、子どもの成長に必要な痛みだということも知ってほしいです。
痕に残る傷を防ぐために
言葉で上手く表現出来なかったり、自分の思いを調整できない場合に多く起こる噛みつき。
その子が伝えたかったこと、我慢出来なかったことを「このオモチャが使いたかったんだね」などと言葉に変えていきます。
その時の思いを受け止め、抱きしめてから、噛みつかれた子の状況や思いも伝えます。
「噛んだらだめ」ときつく叱っても根本的な効果はありません。一時的には減るかもしれませんが、見えないところでの噛みつきが増えるだけです。
してはいけないことを伝えるときは声を低くして、目線を合わせ、なるべくシンプルな言葉で伝えるのがポイントです。
ドスの効いた声での脅迫ではなく、真剣に冷静に伝えます。
噛みついてからどうするかを考えるのではなく、どうしたら噛みつかない状況を作るかを考えることも大切。
噛みつきの多い子にはなるべく目を向けて、噛みつきそうになった時には寸前で止めます。
止めて防げた場合にも「今噛もうとしたのに、噛まなかったね。えらいね」と伝えます。
そして「〇〇がしたかったの?じゃあ、貸してって一緒に言ってみよう」と代替えになる言葉を伝えていきます。
これを根気強く繰り返すうちに、自ら噛みつきを我慢する姿が見られるようになります。
重要なポイントです。
噛みつきがなくなったことに安心して放置しがちになりますが、噛みつきを自制出来たときに見逃さず「今、ガブしようと思ったのにやめられたの?すごいね~」と認めて下さい。
ついダメなことをした時に叱ることが多くなりがちですが、できたことに目を向けることが成長するポイントです。
万が一のために個人賠償責任保険や団体保険に加入を
噛みつきだけでなく、子ども同士のトラブルでの怪我は大人が止めきれるものではありません。
万が一に備えて、 個人賠償責任保険などに加入しておくこともおすすめです。
もちろん園の団体保険に加入しているかもしれません。お子さんの噛みつきが多い場合には確認しておくと安心です。
自然保育でのトラブルの少なさ
今の園に来て驚いたのが、子ども同士のトラブルの少なさです。
もちろんトラブルが全くないわけではありません。
でも、限られた空間の中でぎゅうぎゅうで過ごす子どもと比べて、自然の中でのびのび過ごすことでかなりストレスは減るのだと思います。
相手との距離も自然と取れますからね。そして目の前で変化する自然に癒されたり、発見があるので怒りの感情も飛んでいきやすいのかも。
そして、取り合うおもちゃがないことも大きな要因です。
物を取り合うのではなく、ないところから一緒に作り、分け合う。
そんなことが当たり前にできる環境が自然の中にはあります。
わたしたちも子どもたちも、便利で不要なものに囲まれすぎているのかもしれませんね。
まとめ
ポイント
- 噛みつきがあったら、流水で流してから冷やす
- 上司や保護者に報告を
- 忙しく、余裕がないときほど噛みつきが増えることを頭に置き、噛みつきの多い子を見守る
- 噛んだときに叱るよりも、なるべく寸前で止めて褒めるを繰り返す
- 自ら噛みつきを抑えられたときが最大のチャンス
- 噛みつきはなるべくないほうがいいけれど、子どものトラブルは成長には必要だということを知っておく