仕事でたくさんの子どもたちと接してきました。
一人一人が違う個性を持っています。
それでも似たタイプの子はいるわけで、こんなタイプの子にはこうすれば…というある程度の知識を持っているつもりで子育てをはじめたのです。
でも、息子は出逢ってきたどのタイプにも当てはまりませんでした。
- すぐ泣く、びくびくする(慣れない場所や人、大きな音や声、小さな機械音が怖い)
- 友だちと遊べない(児童館や公園へ行ってもわたしにしがみつく)
- 保育園入園後は約半年毎朝泣き、友だちが出来たのは1年半が過ぎた年中の中盤
- 引越しのため、知らない人だらけの小学校で特定の友だちを作るまで、また1年以上かかりました
- 石橋を叩いて渡るどころか、叩いても叩いても渡らなかったり、叩くことさえ拒むことも……
HSCを知る
斎藤(kokokaku)さんご夫婦のブログを読むなかで知ったHSCという言葉。
HSC(Highly Sensitive Child)=敏感で繊細な気質の子
HSP(Highly Sensitive Person)=敏感で繊細な気質の人
息子さん(たけるくん)のお話しを読んでいるとき、繊細だった希生の幼少期と時々重なることがありました。
ある日読んだ「あの日のボクへ」に載っていたチェック項目を見て驚きというより、笑ってしまいました。
項目のほとんどに、希生が当てはまっていたから。
HSCに多い16の特徴
- 集団に合わせることよりも、自分のペースで思索・行動することを好みます。
- 観察されたり、評価されたり、急かされたり、競争させられたりすることを嫌う傾向にあります。
- 外向型の子どもたち向けにつくられている学校で、求められることを苦手に感じることが多く、人と比較したり、うまくいかなかったりした場合に自信を失いがちです。
- 人の集まる場所や騒がしいところが苦手です。誰かの大声や、誰かが怒鳴る声を耳にしたり、誰かが叱られているシーンを目にしたりするだけでつらいと言います。
- 1対1で話をするのを好みます。大勢の前でスピーチをすることや、大勢の人と会話をすることが苦手な傾向にあります。
- 親友がクラスの中に1人でもいると安心ですが、クラス替えで親友と離れなければならなくなったりすると、すごく落ち込んだりします。
- 物事を始めたり、人の輪に加わったりするなど、行動を起こすのにも時間がかかります。
- これは目の前の状況をじっくりと観察し、情報を深く処理(大丈夫かどうか確認)してから行動するためです。
- 刺激を受けすぎて、それに圧倒されると、落ち着きがなくなったり、話を聞けなくなったり、物事がうまくできなかったりします。恥ずかしさや刺激が多すぎて不安を感じる状況や環境では、冷静さや自制心を失って、その子が持っている本来の良さや力が発揮できなくなるのです。
- 想定外のことや突発的な出来事に対してパニックになってしまうことがあります。
- 自分と他人との間を隔てる「境界」が薄いことが多く、他人のネガティブな気持ちや感情の影響を受けやすい傾向にあります。例えば、他人の気分に影響されて、動揺したり、悲しくなって元気がなくなったりするなど。
- 安心できていない人に、急に話しかけられたり、頭をなでられたり、顔や体を触られたり、抱きつかれたりすることを嫌がります。
- 嫌だと思っても、なかなか「No」が言えません。支配的な人や、あなたのためになると言って受け入れさせるような関わり方をしてくる人には特に、です。
- 先生がどのような人かの影響は大きいです。相性が良くない場合は、地獄だと言います。
- 子ども扱いにする人や権威を示す人、権力をふりかざす人が極端に苦手です。
- 自分の気質に合わないことに対して、ストレス反応(様々な形での行動や症状としての反応…HSCの場合「落ち着きがなくなる」「固まる」「泣きやすい」「駄々をこねる」「言葉遣いや態度が乱暴になる」「すぐにカッとなる」「ものに当たる」「引きこもる」、「不眠」「発熱」「頭痛」「吐き気」「腹痛」「じんましん」など)が出やすい傾向にあります。
- 細かいことに気がついたり、些細な刺激にも敏感に反応したり、過剰に刺激や情報を受け止めたりするため、学校での環境や人間関係から強い「ストレス」を感じてしまい、不適応を起こしやすく、 また、人の些細な言葉や態度に傷つきやすく、小さな出来事でも「トラウマ」となりやすいところがあります。
⑩と⑫以外は当てはまりました。
息子に見せると「僕のこと書いてあるみたいだね」と笑っていました。
高校生になってもベースの部分は幼い頃と変わっていません。
些細な刺激に反応したり、パニックになって泣いたりすることはなくなりました。
人ともめたり争ったりしない方法を自然に選んでいるように見えます。
そして周りの空気を読んでいても、自分の世界を大切にするのです。
良くも悪くも周りがどうとらえているかを気にしない部分を持っているので、集団の中でやっていけています。
心が社会を求めていない?
自覚の有無は別として、結構な割合のHSC・HSPが「社会性」を示すような、集団や組織をつくり他人と関わって生活しようとする本能的性質・傾向を持つ人間ではなく、安心できる特定の人との関係において、共感や共有を重視するといったより深い親密性や温かい心の交流を求め、その関係性の中から存在意義を見出そうとする、本能的性質・傾向を持つ人間だと考えるからです。
「あの日のボクへ」より
なるほど…と思いました。
息子は少人数でのやり取りは苦手ではないのですが、みんなで団結して取り組むような行事が苦痛で仕方ないのです。
文化祭が終わったあとの三者面談で、そのことを担任の先生に伝えてみたところ、集団に疲れているようには見えなかったと驚かれていました。
そして「そういう子は他にもいる。希生くんだけじゃないわ。頑張らなくていいのよ」と言って下さいました。
以前の子育て
もっとみんなと一緒に
みんなと同じように
後ろ指をさされないように
そんなふうにどこかで思っていた気持ちは、いつの間にか消えていきました。
お二人のブログに出逢えたことも、大きかったと思います。
今、大切にしていること
家が居心地の良い安全基地であるように
「頑張りすぎなくていい」をわが家の合言葉に
好きなことや得意を伸ばして自信をもとう
そんなことを大切にしています。
息子から聞こえてくる声です。
偏差値やテストに縛られず、興味のあるものについて限られた時間を最大限に使って学びたい
学校も部活ももっとフレキシブルかつ自由度が高い組織であってほしい
生徒の意思で自由に参加でき、自由に改革でき、自由に抜けることができる組織であってほしい
教育の選択肢がもっと増えればいいのにね。
不自由なことがあるからこそ生まれた視点なのだろううなぁと。
わたしはそんなふうに感じたことも考えたこともなかったです。
HSCかそうでないかは、わたしの中で重要視していません。
そういう気質が息子の中にあるかもしれない、と心に留めておくだけで関わりかたが変われる気がします。
もっと早く知っていたら、希生が幼かったときのイライラや不安はずっと軽かったのではないかと思うのです。
園でも見かけるHSCの気質をもつ子
「社会性が乏しくて心配よね」と言う周囲の声に、他と積極的に交わらなくてもその子にとって楽しい場所であり、楽しめる遊びがあるならそれでいいのでは…と感じています。
なるべくその子が夢中になっていることを守れるよう、わたしの出来る範囲で関わったり見守ったりしています。
みんなが知ることで、その子が過ごしやすい場所や時間が増えたらいいなぁ。
クラウドファンディング開始
斎藤暁子さんが息子さんの「ママ、どうして学校にいかなくちゃいけないの?」に応えてあげたいために一歩ずつ歩まれてきた日々。
遠くから応援していました。
本当に微力ながら、ご協力させていただきました。
このプロジェクトのイラストを、ブログお仲間のイラストレーター永富 月来子さんが手がけています。とても素敵な絵です。

一人でも多くのみなさんにHSCのことを知ってもらえますように、思いを込めて。
追記:クラウドファンディングは成功し、現在本は発売中です。
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とても素敵な本です。ぜひお手に取りください。