自閉症(3歳)児Fくんの、加配保育士になったときのことを振り返って綴っています。
入園当初から奇声のあった自閉症児のFくんですが、しばらくすると唾吐きが始まりました。
唾吐きの理由は
奇声には感情の表現、自分を注目してほしいアピールの2種類があります。
唾吐きの理由も奇声と一緒で注目してほしいという注目行動であるとともに、逃避行動でもあるそうです。
気持ちが切り替えられないときに唾を吐いて注目されている間は、嫌なことから逃れられると感じるそう。
自閉症の唾吐きは、一度始まると長いです。
家庭で始まった唾吐きに、Fくんの両親は厳しく叱っていました。先に言いますと、叱っても効果はありません。
唾吐きは園でも始まりました。嫌な顔をしたり叱ったりすると嬉しそうな顔をします。
Fくんにとって悪意のあることではありません。分かっていても、怒りと悲しみの感情が湧きあがりました。
少しずつ信頼関係を築けてきたかな…と思った矢先の出来事で、体に少しずつ異常が出はじめました。
- 頭痛
- 体が重い
- 独り言が多くなった
- 時々急に涙がこぼれる
半鬱状態だったと思います。いや、鬱だったのかな…。
唾吐きをやめさせられるか
奇声や唾吐き、体当たりをするFくんに対して、あからさまに嫌な顔をしたり冷たく接っしたりする先生もいました。加配のわたしが適切な指導していないからと思っていた先生もいました。
年度が変わり、園長先生が移動で変更になり、新しい園長先生は発達障害に理解のある方でした。良かった…。
わたしの話に耳を傾けてくれて、養護学校のT先生の訪問を増やしてくれました。
T先生から頂いた唾吐きのアドバイスです。
- 反応しない
- 活動から外さない
- 平静を保つ
顔に唾が飛んでも平静を装うって、難しい~!悟りの領域ですな。
凡人には平静を装うを装うにしかなりません。Fくんに完全に見抜かれている。
解決に向けたポイント
- 結果(反応がある。逃れられる)が得られるうちは、唾吐きが続く
- 反応しないことで、唾吐きは一時的に増えることもある
- 唾を吐きそうで吐かなかったときに誉める
- 唾吐きをしたとき「〇〇がいやだったの?」「いやいや?」と唾吐きの代替えになる言葉を伝える
唾吐きの引き金
Fくんの唾吐きは年長に進級して
- 新しいクラスになり
- 教室が変わり
- 担任も代わり
- 母親の勤務の都合で降園時間が30分伸びたとき
にピークを迎えました。

新しい環境に慣れることが不得意なのは、自閉症の特徴です。
Fくんは言葉で自分の不安を表現出来なくて、唾吐きをして自分を保ったり、周囲の人が信頼できるのかを確認していたのかもね。
あの時、すぐに分かってあげられなくてごめんね。
安心して過ごせる場所を見つけ、ゆったりと過ごしながら、信頼関係を深めることで唾吐きが少なくなっていきました。
それは昼寝の格闘と共に、本当に長い闘いで約一年半続きました。
わたしの心はボロボロになりながらも、少ないながらも支えてくれる人がいたおかげで何とか保つことが出来ました。
でも、辛い日も多かったな…。外にいても、狭い部屋に閉じ込められているような息苦しさや寂しさを感じることもありました。
お子さんの唾吐きで辛い思いをしている人がいたら、無理をせずに助けを求めて下さい。
家族でも幼稚園や保育園の先生でも、地域の子育て支援センターでも、SNSを使ってもいいです。誰かに聞いてもらって頷いてもらえるだけで、きっと楽になります。
