初めてみんなと一緒に布団を敷いた時、何だろうと不思議な顔をしたFくん。
「ねんねだよ。お布団にごろんしてね」
と伝えると、ニコッとして横になりました。
そしてすぐに起き上がって、布団の上でジャンプ&奇声。
一瞬眠れるのかと思った…。
奇声を出してジャンプ
他の子の午睡の妨げになるからと、担任の先生の指示で他の教室に布団と共に移されました。
環境を次々に変えられてパニックになり、Fくんは部屋から出ようとして、体当たりで何度も扉にぶつかりました。激しい奇声も出ました。
わたしや園に自閉症児についての理解があったら、そんな思いをさせなくてもよかったのに…。
振り返ると、本当に申し訳ないことをしました。
寝ることは諦めて、その部屋にいられることが第一の壁になりました。
昼寝は必要か不必要か
職員の中からは、Fくんを昼寝させなくても良いのではないかという声が出ました。
部屋で遊ぶと奇声が激しく他児の迷惑になるので、外で遊んでいれば良いと。
でも午前中もずっと外で遊んでいます。
それはFくんが選択しているのではなく、他児が発表会の練習に集中するために外で遊んでいてねと遠回しに言われたからでした。
すごくモヤモヤしていました。
楽器に触りたいFくん。
「触れても大丈夫ですか?」と常勤の先生に聞くと、首を横に振られました。
どうして?
昼寝をするかしないかも、Fくんのために考えていることではないと感じてわたしの心は反発しました。
自閉症児の昼寝アドバイス
そんな時、養護学校のT先生が来て下さり、午睡に関するアドバイスを頂きました。
自閉症児保育|水が大好きで止められない!こだわりとのつき合い方
- 2週間など期間を決めて、午睡時に奇声を上げても反応せず様子をみる
- なるべく狭くて余計なもののない部屋を使用する
- 布団に入った時間や奇声を上げた時間、その時の対応の記録を取り、経過を観察する

昼寝の目的
昼寝が絶対に必要なわけではないけれど、Fくんが気持ちや体を休ませる時間=オフの時間を作る
寝ることにこだわらなくてもいいけれど、静まる時間を作れるよう努力してみることになりました。
奇声の理由
保健室を片づけて、Fくんの午睡部屋にしてもらいました。T先生のアドバイスがなかったら使わせてもらえなかったと思います。
小さな部屋があったこと、T先生との出会いに救われました。
ここからが大変でした。
2週間、奇声とおつき合い。どんな奇声でも、笑顔のまま無反応…。

奇声には感情の表現、自分を注目してほしいアピールの2種類があります。
感情の表現で奇声を出した場合、その感情に共感して言葉に変えます。
「よかったね。うれしいね」「いやだったね」
注目してほしい場合の奇声は、ただただ無反応であるのみ。反応すると続きます。
めちゃくちゃ大変です。
Fくんの変化
1ヶ月、2ヶ月、半年…という長い時間をかけて、オフの時間を理解していきました。
本当に少----しずつ。
一定の時間を静かに布団に上で過ごせるようになりました✨
「声を出すことで嫌なことからエスケープできるという間違った学習をしそうになっていたけれど、今は体を休める時間だということを理解しているね」
とT先生に言ってもらった時、涙がこぼれました。Fくんの成長が自分の成長と重なった瞬間でした。
みんなと同じでなくていい
他の園児と同じ時間を休息の時間として過ごせなくてもいい。
一定の時間を静かに過ごせた後は、大好きなCDの機械を触ったり指先遊びをしたりして過ごしました。
そんな時間を過ごしているうちに、本当に寝てしまうことも…✨
とはいえ、そんな奇跡の日は数える程度で、昼寝の格闘は出会ってから卒園するまでの2年半ずっと続きました。
